折り重なる運命 〜Today's me〜

少しも寒くないわ。



私は褒められるのが大好きだ。お母さんの次に好き。つまり2番目に好きなのだ。

この好き好きランキングは時々刻々と変化しているため、決して信用出来るものではない。1位以外は常に変化し続けている。


時を戻そう。


私は褒められるのが大好きだ。褒められると嬉しくなる。

しかし、だからといって。

私は褒めて伸びるタイプではない。モチベーションが上がることには間違いないが、そんなもの誤差でしかないため、褒めたところで大したメリットはない。

じゃあどうすれば伸びるのか、そう考えるだろう。

叱れば伸びる?伸びるわけがない。私のメンタルは脆い。何もなくても軽く崩れているくらいには脆い。叱られた瞬間、すべてを投げ出して布団に引き籠るだろう。


褒められて伸びるとは限らないが、褒めないと伸びないことも確かだ。

能力が花だとしたら、褒め言葉は水。遣り過ぎは良くないが、やらないと枯れてしまう。

私に限ったことではないが、適度に褒めるのが1番効果的だといえる。凄腕上司に褒められると嬉しいし、綺麗なお姉さんに褒められたりした日にはもう大爆発だ。

能力が花。褒め言葉が水。説教は肥料。

いいバランスを保つことを心がけよう。


これから人の上に立つ人間へ。

適度に褒めてあげてくれ。

綺麗なお姉さんへ。

私を褒めちぎってくださいお願いします。


さよなら。ばいちゃ。

ふわりと鼻を包むscottie 〜Today's me〜

花屋の店先に並んだいろんな花を見ていた。



扇風機を確保した。


6人の人間が住んでいる我が家は、扇風機を2台保有している。扇風機保有家庭である。

私と妹は自分の部屋、それ以外は寝室で寝ているため、少なくとも3台は必要なのだ。しかし、金銭的な問題からか、それとも私に対する嫌がらせか、我が家には扇風機が2台しかない。

3つ部屋があるにも関わらず、2台しかない。しかも2台とも1つの部屋で使っているのだ。

そのため、私と妹は扇風機のない生活を送っている。


中学生の分際である妹の部屋に扇風機がないのは仕方ない。中学生の分際で扇風機を使うことなど許されないからだ。

しかし、県下トップクラスの偏差値を誇る学校に通っている、国内最高級の頭脳を持つ私の部屋に扇風機がないなんて有り得ない。愚の骨頂。ただのアホ。バカマヌケ。


両親と弟1、弟2の4人で2つ扇風機を使っているということは、扇風機は2人で1つということになる。

なのであれば、私と妹がそれぞれ0.5扇風機ずつ使っていないとおかしい。理論上ではそうなる。

しかし、例えいくら不平不満を垂らしたとしても、扇風機が錬成されることはない。世の中というのは非情なものなのだ。

そこで私は考えた。世界でも有数の頭脳を駆使して考えた。たくさん考えて、無形文化財に指定してもいいくらい価値のある結論を導き出した。


盗めばいい。

扇風機は1つの部屋に2つもいらない。扇風機密度が高すぎると逆に暑くなる。


家族が寝静まった頃を見計らって、私は犯行を行った。

漆黒に塗れたコードの先端にあるプラグをコンセントから抜き、自慢の肉体を活用して扇風機を持ち上げる。コンセントとプラグの結合が無に帰した今、扇風機を縛り付けるものなどない。この扇風機は自由の身である。


ウスノロな両親達は目を覚ますことなく、穏やかに寝息を立てていた。せいぜい4人で1つの扇風機をシェアするがいい。私は独占するがな。


妹が暑さに苦しまされている頃、私はたった1人、呟く。

「我々は宇宙人だ」


さよなら。ばいちゃ。

脈々と受け継がれし遺伝子 〜Today's me〜

我、神仏を尊びて、神仏を頼らず。



モニターに授業風景が映し出されているのを他所に、お布団を干した。

少々曇りがかっていたのだが、なんとなく晴れそうだったため、お布団を干した。

久方ぶりだ。お布団を干したのは。

お布団を干し、朝ごはんを食べながらネットサーフィンしていると、予想通り、雲が姿を消した。お天道様にSay Hello. 正解だった。お布団を干したのは。

お日様の匂いを醸し出すほど熟成しようと、私は考えた。お布団を干したのは久しぶりだったため、お日様の匂いもご無沙汰していますのです。


PCに接続したイヤホンから、ほんのわずかに教授の声が。それをかき消すように、外からは元気な子ども達の声が聞こえる。

私の家の近くに保育園があるのだ。余談だが、私の弟も通っている。

本来なら教授の声を聞いた方がいいのだろうが、天邪鬼な一面を持つ私は、スマホから流れる音楽へと耳を傾けた。

ガキの声がいいアクセントだぜ。

なんて冗談を呟きながら、モニターへ向き合う。そろそろ真面目モードに移行しなければ。


『青い薔薇を咲かせよう大作戦』が、1段階進んでいた。

これまでに1週間ほど費やしてきて、ようやく次のステップへと移行できる。待ちくたびれた。

紫の薔薇とオレンジの薔薇を植え、水をやる。愛を捧ぐのも忘れずに。


島民への挨拶やショッピングなどの日課をこなし、スマホとの睨めっこを開始する。情報収集だ。

今を生きる若者として、最先端の情報を摂取し続けることは欠かせない。自分磨きでもある。


スマホは時間を喰べる。気付いたらお昼になっていた。

セルフ家宅捜索を行うと、カップ焼きそばを発見。今日のお昼は不健康ご飯に決定。

食べた。

またベースを触る。本当に触るだけ。

麻雀してたら眠くなったため、ベッドに横たわる。マットレスだけだからちょっと身体が痛む。仕方ない。今は我慢の時。

Go to 夢の世界。


現世に戻ってくることはなかった。


さよなら。ばいちゃ。

軽快に弾む雨粒 〜Today's me〜

He who moves not forward, goes backward.



ステイホーム。

私は今、基本的に1人ぼっちで過ごしている。

母が仕事に行く直前、私は目を覚ます。ママに起こしてもらっているのだ。


顔を洗っている頃には母が仕事に出かける。歯を磨いているうちに意識が覚醒し、1人ぼっちであることを認識する。

妹、弟1は学校。弟2は保育園。父と母は仕事。私は家で1人、ボーッとしているのみ。


ママが用意してくれた朝ごはんを食べながら、遠隔授業を受ける準備をする。


腹が満たされた頃には授業が始まる。

まずは花に水をやる。

青い薔薇を咲かせようとしているため、ここ数日はガーデニングに夢中なのだ。

自慢の金のジョウロで水を撒くと、海岸を散歩する。メッセージボトルが目的。

メッセージボトルに入っているDIYレシピを手に入れ、満面の笑みを浮かべる。被っていた場合は激怒。メッセージを書いたどうぶつの名前をブラックリストにぶち込む。

いよいよショッピングだ。

金ならある。魅力的な家具や服があるかは別だが。

面白いデザインの服や、一目惚れした家具を購入し、セーブして終了する。やることがないわけではないが、この瞬間にしか出来ないなんてことはない。後回しだ。


まだ10時前であることを確認し、布団に潜り込む。俗に言う二度寝である。Go back to Sleep.


目を覚まし、お昼ごはんを作り始める。

料理するたび、母への感謝が増大していく。母は偉大である。


お昼ごはんを食べ、ベースを触る。触るだけ。弾けはしない。

満足するまで撫でたら、もう一度布団に潜り込む。

救いようのない人間であることを自覚しつつ、夢の世界へ旅立つ。


現世に戻ってくることはなかった。


さよなら。ばいちゃ。

Today's me.

ほんの少し前までは肌寒いくらいだったのに、気付けばもう、歩くだけで汗を流すほど気温が上がっている。

日射しも強く、うっかり肌でも出そうものならあっという間に日焼けしてしまいそうだ。

なのに、全身を黒で染めなければいけない。

あまり好きではない制服に腕を通す。学校に行くのであれば、制服を着ていた方がいいだろう。

本来なら制服に縛られる立場にない。けれど、ほんの少しのミスで、あと1年間制服を着る羽目になってしまった。

やり直し出来ない、というのが人生の面白さだと思うけど、あの時ばかりはやり直しがしたくて堪らなかった。後悔先に立たずというのは本当らしい。


太陽との親和性を高めた上で、扉を開ける。

わざわざ深呼吸なんてしないけど、やっぱり家の外で吸う空気はどこか新鮮だった。

埃が積もった自転車に跨り、脚に力を込める。風を切って前へ進む感覚を思い出し、自粛で濁った心が爽快感に包まれる。

3年もの間、殆ど毎日通った道を、何も考えずに辿る。中学の頃の通学路と被っている部分があることを考慮すると、約6年間、同じ道を通っていることになる。なんだか感慨深い。


目的とする場所は山の上にあるため、到着するまで自転車に乗り続ける、なんてことはない。坂の下に着いたら自転車から降り、後はひたすら押して登るだけ。

家に引き籠もっていると、体力は自然に落ちていく。

4ヶ月前は何の苦もなく出来ていた事でも、今はもう出来なくなってしまっている。

体力が落ちたことに加えて、気温が上がったこともあり、想像以上の辛さを味わうことになってしまった。

滝のように汗を流しながら、フルマラソンをしているかのように酸素を取り込む。ただ歩いているだけなんだけど。

好きな女の子と目が合った時みたいに顔が紅くなっているのかな。なんて思いつつも、休まず足を動かす。


千里の道も一歩から。と言うように、細かいことの積み重ねが大事なのだ。今はまだ実感出来ていないかもしれないけど、いつか振り返った時にはきっと、自分が積み重ねたものの大きさに気付くことが出来る。


ゆっくり歩みを進めた僕は、20分後に目的地へ辿り着いた。

自粛によって、人気がなくなってしまった学校。普段とは違う静かさに違和感を覚える。仕方のない事だけれど、そう簡単には受け入れられない。賑やかすぎるあまりに「うるさい」と感じることもあったけど、賑やかじゃなくなった今、賑やかであることの有り難さに気付くことができた。


目的を果たして僕は、つい先程来た道を歩き始める。

来た時とは持っているものが違うけど、それ以外は概ね同じ。家を出る前は面倒くさいと感じていたけど、いざ家を出てみると案外楽しいものだ。

第2波がどうとかで騒がれているけど、たまには外へ出るのもいいかもしれない。

長い長い下り坂を、自転車で下る。

顔に当たる風が気持ちいい。




今日も1日、家に引き籠もっていた。

暇すぎる故に脳内で外出したのだが、まったくもって楽しくない。やっぱ家だわ。家以外勝たん。

一生家に居続けたいものである。


ではさよなら。ばいちゃ。

選り取り見取り 〜Today's me〜

愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ。


徐々に、日々、堕落していっている。

8時35分に起き、8時55分に寝る。

10時15分に起きる。

見事に、完璧に1限を回避しているのだ。私は。

ダメ人間である。とんでもない親不孝者だ。

はやく変わらなければ。


変化を拒み、不変を受け入れた人間に価値はない。

ヘラクレイトス氏曰く、万物は流転するのだ。

有象無象とは格が違う私といえども、所詮は宇宙の一欠片。朽ちていく運命に囚われている存在でしかない。盛者必衰の理、ということだ。

ぐぬぬ、と歯を食いしばるほど悔しいが、"万物" という表現に当て嵌まることを認めざるを得ない。誠に遺憾である。


私は賢者であるが故に、歴史から学ぶ。本来はこういう意味で使われていたわけではないらしいが、ここでは細かいところを気にしないものとする。

先人の言葉を参考にし、流転しなければならない。

このままじゃダメだと思うからだ。


今日はもう無理だ。明日から頑張ろうと思う。


さよなら。ばいちゃ。

朽ちていく苗木 〜Today's me〜

動かざること山の如し。


3時に寝て8時に起きる。

16時に寝て21時に起きる。

二毛作を彷彿とさせる生活を送っているのだが、どんどんダメ人間へと進化していっている気がする。

この生活で評価できる点は、8時に起きているということだけである。早起き。素晴らしい人間だ。しかし、3時に寝ることや、16時から5時間寝るということによって、プラマイ0になる。悔しい。

このままではダメだと理解しているため、1日寝ないという解決策を取ろうとしているのだが、根本的にダメ人間であるからか、ここ3週間くらい上手くいっていない。どうしてだろう。悔しい。

もう無理なんだと思う。諦める所存でございます。


珍しくアイデアに埋もれている。書くことに困らないというのは、なんて素晴らしいことなんだろう。俗に言うライターズハイというものだろうか。なんだか気持ちいい。


私はパンツより先に靴下を履く派だ。去年まではパンツが先だったのだが、いつからか靴下が先になってしまった。

お風呂から上がると靴下を履き、ベッドに横たわる頃に靴下を脱ぐ。私は寝る直前にお風呂に入るタイプであるから、靴下を履いているのは15分くらい。靴下装着時間は短し。

当然、朝起きた時には靴下を脱いでいる状態なのだが、いつもいつでもそのまま活動を開始してしまう。

賢い人ならもうわかったかもしれないが、布団の中に靴下を貯蓄しているのだ。"している" なんて言うと意図してやっているかのようだが、ふとした瞬間に3足くらい出てくる、くらいのノリなのだ。つまり無意識。わざとではない。"してしまっている" が正しい。

ここ2週間くらいで3度やってしまっているのだが、この癖は抜けない。無意識のうちに意識してやっているのかもしれない、と推理するくらい、私は私を疑っている。


裸足でモコモコしたものを触る快感が堪らない。これからも靴下を貯蓄しようと思う。


さよなら。ばいちゃ。