留年したらステータス爆上がりした件 〜Today's me〜
「やばい……」
僕は呟いた。隣で同じテストを受けていたマナトは、なにやら興奮している様子。
「俺もやばいわ。ギリギリだと思う」
やばい、という言葉の汎用性は高い。そう実感しつつも、にやけているマナトを睨みつける。
「僕全然足りてない……」
悲壮感を漂わせた僕の呟きは、2人しかいない教室にこだました。興奮冷めやらぬ様子で「やばい」と連呼しているマナトの耳には届いてなさそうだ。
自分のせいだとわかっていても、現実を受け止めきれない。恐らく留年は免れないだろう。
「ばいばい。来年頑張れよ」
マナトに向かって、エールを送った。不思議と、心には余裕が生まれていた。
「え?留年?」
「うん」
彼の疑問に、自信満々に答える。僕は何故こんなにも余裕なんだろう。
「まあ2回目なんだし、来年は無双できるかもね」 /* ミニ伏線 */
僕は留年した。
4月、かつての同級生達が4年生の教室に通っている中、僕は去年まで通っていた教室へと向かっていた。
ええ!なんか頭良くなってる!力も強い!足も早い!あれ?ドア壊しちゃった?僕なにもしてないのに!
プロローグである。最初はノリノリで書いていたが、途中からバカらしくなってしまった。なろう小説家は素晴らしいのだろう。少なくとも、私には真似できそうにない。
しあわせ島へ、住所を移した。しあわせ島と名付けたのは私である。住民全員がしあわせになればいいと思っている。
このしあわせ島には、私を含めて3人住んでいる。
私とヴァヤシコフとジェシー。ヴァヤシコフは少し変わっていて、所構わずトレーニングをしようとしている。また、テントの位置を決められずに私へ丸投げしてきたところから、自分というものがないのだろうと思う。
ジェシーは猿だ。決して悪口ではない。猿なのだ。ジェシーも変わっていて、島に生えている雑草を見て、葉っぱの傘を作ることを提案してきた。とんでもないリサイクル精神を所持している。リサイクルBOXにダンボールを入れたのは、きっと彼女だろう。
今から島へと戻る。こんなところで時間をwasteしている場合じゃない。
さよなら。ばいちゃ!