滾る自己顕示欲 〜Today's me〜
病的なまでに思慮深い奴の思考さえ遠く及ばない。
話は3日前へと遡る。
午前のカブ価が200ベルを超えていた。(曖昧で申し訳ない。記憶力に自信はないのだ)
「午後に80ベルとかまで落ちたら嫌だな」と思う気持ちと、「ワンチャン500あるのでは?」という気持ちが鬩ぎ合った結果、1500カブほど売ることに決めた。この時点で損することはなくなったため、ほどよく満足していた。
そこにある情報が飛び込んできた。とある有名女性声優さんの島にて、カブ価が604ベルになっている、と。ファンクラブ会員限定で、パスワードを公開している、とも。
ぶっちゃけた話、私はその声優さんのファンクラブに入会していた。つまり、その声優さんの島を訪れることが可能なのだ。
すごい幸運。これぞ巡り合わせ。
滅多にない機会。このチャンスをものにしなければ。と思い、2500カブほどポケットに詰め込んだ状態で飛行場へと向かった。
ドキドキワクワクしながらパスワードを打ち込む。しかし、取り込み中の方がいるらしい。まあ仕方ない。ファンの方は沢山いるのだ。「私だけ」なんて考えを持つことは許されない。今回行けなくとも、それが運命だったと納得するつもりだ。
そう思いながら時間を潰す。英語で言うとKill time. 残酷だ。
混み合っているところに突入するほど横暴ではない。ゆっくりでいい。カブなんて二の次で、その声優さんの島を訪れることに意味があるのだ。
数分置いて、再び挑戦する。しかし、ここで想定外の出来事が私に襲い掛かった。パスワードを入力しても、受け入れ状態の島が見つからないのだ。
この鳥め。貴様の不手際ではないのか。甘ったれたことをほざく暇があるのならさっさと探せ。
泣きそうになりながら、数度確認し直してもらう。が、見つからない。
「運命って、残酷なんだな」と思いつつ、パジャマの袖で涙を拭く。(ちなみに、自粛期間は体操服とパジャマを日替わりで着こなしている)
涙で滲む画面を操作し、悲壮感をツイートに変えようとする。(本当はめちゃくちゃブログをチェックしてた)
するとその瞬間、絶望に包まれた私にひと筋の光が射した。
落ちていたらしい。よかった。私は嫌われていなかった。
最新版のパスワードが公開されていたため、僅かな希望を胸に、鳥に話しかけた。
パスワードを入力し、鳥が受け入れ状態の島を探している様を眺める。
見つかった。一安心だ。
ワクワクしながら、行きたいという気持ちを鳥に伝える。
次の瞬間、私は声優さんの島に足を踏み入れていた。
とても素敵な島。これに尽きる。
こればかりは実際に見てみてほしい。というよりも、私の語彙力ではとても表現し切れない。私の島とは比べものにならないくらい綺麗だったとだけ言っておこう。
島に訪れたい方がたくさんいる中、長時間居座り続けることはできない。
ということで、カブを売り、ある程度島を観光し、ついでに募金中のスロープ代金を支払い、ベル袋を商店横に置いて、しあわせ島へと帰還した。
何にも変えがたい貴重な経験だった。
もちろん記念撮影もした。が、SNSには載せない。私には信用を裏切る事が出来ない。時折写真を見て、あの時の幸せな時間を思い返そうと思う。
しあわせ島も、綺麗な島へと発展させたいものだ。
さよなら。ばいちゃ。